トヨタ財団国内助成プログラム
第2回
DIYアイデアコンテスト
「ART BATTLE!和のインテリア・アート」
結果発表!

 

応募していただいた皆様、誠にありがとうございました。
第2回DIYアイデアコンテストの結果を発表いたします! 
 
優秀賞
№001「束のゆらぎ」阿部 雄介
№010「アイザ鎌倉の簡易宿泊所」香月 真大
 
入選
№011「無から有、有から無をつくる」山地 美紀
№015「あいだのはざまで」森 友里歌
№025「SHOJI ART」梅崎 照城
№026「彩る隙間」大杉 亮介
№030「コウシカラ」村田 夏菜子


優秀賞

№001「束のゆらぎ」阿部 雄介

 


優秀賞

№010「アイザ鎌倉の簡易宿泊所」香月 真大

 


入選

№011「無から有、有から無をつくる」山地 美紀

 

 


入選

№015「あいだのはざまで」森 友里歌

 
 


入選

№025「SHOJI ART」梅崎 照城

 
 


入選

№026「彩る隙間」大杉 亮介

 
 


入選

№030「コウシカラ」村田 夏菜子

 

 

■公開審査会レポート

「和」について熱気あふれるトーク展開

平成29年4月22日(土)千葉大学西千葉キャンパスにて、審査委員に泉 幸甫氏、今村 水紀氏、岡崎 愛子氏、小沢 朝江氏、波多野 純氏(五十音順)を迎え入選作品の公開審査が行われた。
DIYアイデアを公募するコンテストの第2回目。壁・天井・床などの表層に【和のデザイン】を表現することで総合的に和の新しい空間を創造することが求められた。
応募作品23点の中から事前審査が行われ、7点の入選作品が選ばれた。このうち5名が会場にてプレゼンテーションを行い、質疑応答を受けた。会場に来られなかった2名はビデオレターによりプレゼンテーションを行った。
審査基準は実現性(誰でもつくれるか)とアイデア(ユニーク性)の2つで、それぞれの項目に1~3位の順位をつけることで点数化され採点された。採点結果を見ながら審査員が各自の評価ポイントを公表しあった。結果的には他5点とは圧倒的な差をつけた2点が優秀賞選ばれた。
優秀賞
No001 束のゆらぎ 阿部 雄介
No010 アイザ鎌倉の簡易宿泊所 香月 真大
表彰式にてNPO法人ちば地域再生リサーチ理事長から賞状と賞金を優秀賞2名と入賞者に贈られた。
 
審査に先立ちNPO法人ちば地域再生リサーチ理事長から、今回のコンテストの経緯が説明された。
千葉市は高度成長期に首都圏の人口が増えたため、団地型の集合住宅が多い地域であり、特徴が2つある。1つは空家率が高く、多いところで40%、少ないところでも20%ある。もう1つは少子高齢化により高齢者の割合が非常に高い。こうして増えていった団地の空家をよい仕組みで社会に供給できるようにしていきたいと思うようになった。今まで過疎地や漁村などの対策に助成をしていたトヨタ財団が首都圏の空き家問題の対策にも助成をするようになり、この助成を受けることが出来たためコンテストの開催に至った。
空き家対策のために国交省では「借主負担DIY型賃貸住宅」を取り組み始めている。そのままの空き家ではなくDIYをしたいと思わせるような「デザイン改修」した空き家を新しく「デザイン空家」とNPOでは呼んでおり、この「デザイン空家」を住み手がDIYを施し「住む家」にしていく。「デザイン空家」にするまでにも様々な問題がありこれもまた難しい問題ではあるが、今回は住み手のDIYのアイデアを募集したものだ。もっと新しい住宅のスタイルを作るうえで「和」を取り入れた文化を作りたいと思っている。
 
入選者のプレゼンテーション(プレゼン5分+質疑応答10分)が行われた。
No001 束のゆらぎ 阿部 雄介
No010 アイザ鎌倉の簡易宿泊所 香月 真大
No011 無から有、有から無をつくる 山地 美紀
ビデオレターによりプレゼン
No015 あいだのはざまで 森 友里歌
No025 SHOJI ART 梅崎 照城
ビデオレターによりプレゼン
No026 彩る隙間 大杉 亮介
No030 コウシカラ 村田 夏菜子
 
講評
今村 水紀氏
DIY=私でも作れそう、空間をガラッと変えられる、関係性が見えてくる ことをポイントにした。関係性を可視化するということを和風であるととらえてよいのではないかと考えた。阿部さんと香月さんは1/1で作られているという点で最も評価しやすく、香月さんは理解しやすい手法でできている点で実現性をより評価し、阿部さんはアイデアを最も評価した。アイデアの3位は寸法体系も難しい、製作もすごく難しいと思うがDIYしたいとの思いがよかったので村田さんに、実現性は自分だったらどれが良いかという観点で梅崎さんを選んだ。
 
岡崎 愛子氏
香月さんは実際に施工されていて、効果も上げていることで、高評価をつけている。阿部さんは手軽に購入できる材料で実現されているので実現性を評価した。森さんはDIYで空間を表現しようと試みていて、気分で使い分けることが出来て融通が利くのでアイデアを一番高く評価した。DIYで団地を活性化させようとするアイデアがよかったので大杉さんに点数を入れた。また、襖がきれいで実現できそうだったので梅崎さんに点数を入れた。
 
小沢 朝江氏
阿部さんと香月さんが抜き出ていて、どちらがどの評価が高いか考えた。布ですぐ出来る、光をコントロールすることがアイデアとしてのポイントが高いと考えて、阿部さんにアイデアの1位を、実際に商業的に成功している香月さんに実現性の1位を付けた。阿部さんのアイデアは「和風」かどうかは分かりにくいが、近世に言葉が生まれた時から「和風」の定義はあいまいなので、これも「和風」なのかと思う。大杉さんの障子を集めて再利用して使うことに実現の可能性を感じたので評価した。森さんの格子によって公と私をグラデーションで分けていくことが、現代に合っているように思えたのでアイデアとして評価した。
 
泉 幸甫氏
香月さんは実際に施工されていて、事業として成功しておりリアリティがあり、実現性が高い。そしてそれには想像性がある。阿部さんは天井を何とかしようと考えたところがアイデアだ。なかなか思いつかない。大杉さんの障子を重ねていくことは簡単に出来そうな感じがするので実現性がある。森さんのスクリーンを重ねていき、動かすことが出来るのはアイデアだと思う。そして問題なのが「和」とは何かということ。数字で表すと1は壁で囲われている、2は壁と開口がある。バラカンの建築。3は多数が開口。堀口捨巳の建築。香月さんは3で、阿部さん、大杉さん、森さんは2だと思う。
 
波多野 純氏
阿部さんは天井に関する考え方が村野藤吾の八ヶ岳美術館のようでよいものを見つけたなと思った。香月さんは最初、反発を感じた。一発あてただけだろうと感じたがやはり写真を見ていくと魅力的な空間構成だと思う。しかしプレゼンの写真のプロポーションをいじるのはよくない。切り取るのはよいが、プロポ-ションをいじるのは誠実さに欠ける。森さんはもっといろいろなパターンが見えていくことを検証したら面白い。梅崎さんはきれいだが両方に障子紙を張るのは「和」ではない気がする。大杉さんは仮設を大事にしているところがよい。
ほとんどの審査員が阿部さんと香月さんに1・2位の順位をつけており、圧倒的な得点を得ている。話し合いの中で点数を逆転するだけの説得力のある意見は出なかった。
最終的に阿部さん、香月さんを優秀賞に選出した。
 
審査会を終えて
まず①DIYのアイデアである②「和」のインテリア・アートである、と2つの壁があると感じていた。設計のアイデアだと現実に不可能でも、近い将来(技術的に)実現できるかも?予算があれば実現できるかも?といったアイデアでも勝負できる。しかし今回のコンテストはDIYのアイデアである。実際にプロでない人が自らの手で実現できるアイデアでなければ意味がない。だから審査基準も実現性とアイデアであった。プロでも製作が難しそうだけど出来上がったら素敵だろうなと思うものでも、点数は入らない。入手可能で、製作しやすく、テレビなどでアイデアを紹介されておらず、インパクトがある!となるとやはり優秀賞を受賞した2人は抜きんでていた。次の壁は「和」だ。入賞者の方々はさすがに安易に「畳の部屋」=「和」と考えていないところがよい。上記の基準のほかに「和」が感じられるか、どこに感じられるか、の項目があるとよかったのではないだろうか。そうすればもっと議論に花が咲くであろう。自分の評価軸と他人の評価軸との違いが明確になる。絶対評価が難しいなら相対評価でも。(記事:松川真由美) 

 

クリックすると拡大します。

 

終了しました
 
トヨタ財団国内助成プログラム
第2回
DIYアイデアコンテスト
「ART BATTLE!!和のインテリア・アート」
公開審査会

 
第2回
DIYアイデアコンテスト
「ART BATTLE!!和のインテリア・アート」の 
優秀者によるプレゼンテーション付きの公開審査会を開催します。
模様替えや、DIY、すまい方の参考にいかがですか?
ぜひご来場お待ちしております!
 
日時:2017年4月22日(土)13:00~(受付12:30~)
入場無料(申込不要)
場所:千葉大学 西千葉キャンパス総合校舎1号館(G1)2F
G1-201
 ■アクセス